かたぎしゆみえ建築設計事務所 ~暮らしに必要なものを見つめる家づくり~
いわて森の棟梁に、新たな登録事務所として「かたぎしゆみえ建築設計事務所」が加わりました。
岩手県滝沢市に事務所を構え、今年で設立18年目を迎える設計事務所です。新築住宅をはじめ、リノベーション、断熱改修、小規模な工事まで、住まい手の暮らしに寄り添った家づくりに取り組んでいます。
建築資材の価格上昇や金利など、家づくりを取り巻く環境は大きく変化しています。だからこそ、これからの住まいづくりでは「何を足すか」だけでなく、「暮らしに本当に必要なものは何か」を見つめることが、より大切になっています。
今回は、かたぎしゆみえ建築設計事務所の片岸弓枝さんに、家づくりで大切にしていること、県産材の活かし方、そして設計事務所に相談することの意味についてお話を伺いました。

photo by yui sugawara
Q. 家づくりを考える方にまず伝えたいことは?
【建てて終わりではなく、トータルコストで考える】
家は建てて終わりではありません。建てた後の日々の暮らしのコストや、将来的なメンテナンスのことまで含めて、トータルで考えることが大切だと思っています。
その中でも特に大切にしているのが断熱性能です。
岩手で暮らす以上、冬の寒さへの備えは欠かせません。断熱性能は日々の快適さだけでなく、光熱費などの生活コストにも直結します。
設計事務所としてここはとても強い思いを持って取り組んでいる部分です。
そのうえで住まいの心地よさを高めるプラスの要素として、内装材や外装材に県産木材を取り入れることを提案しています。地域の木を暮らしの中で使うことで、癒しややわらかさが生まれ心地よい空間につながっていくと感じています。
Q. 住まい手の希望をどのように整理されていますか?
【厳しい時代だからこそ、一緒に希望を見つめ直す】
まずはプランニングの際のヒアリングをじっくり行うことを大切にしています。
昨今は資材費や金利の上昇によって、住まい手の方の危機意識が非常に強くなっていると感じます。家づくりに対して以前よりも慎重に、現実的に考える方が増えています。
一見すると厳しい状況ではありますが、だからこそ設計士と住まい手が協力しながら、良い意味で「答えを一緒に考える」ことができると思います。
どんな暮らしをしたいのか。何を大切にしたいのか。どこに費用をかけて、どこをシンプルに考えるのか。そうしたことを一緒に整理していくことが、今の時代の家づくりではとても大切だと感じています。
Q. 費用をかける部分とかけない部分のバランスは?
【後から変えにくい部分こそ、最初にしっかり考える】
後から改修しにくい部分には、しっかり費用をかけた方が良いと考えています。
たとえば構造躯体に関わる部分です。ここは家の安全性や耐久性に関わりますし、後から簡単に直すことができません。
もうひとつは断熱性能に関わる設備や仕様です。断熱は暮らしの快適さだけでなく、日々の生活コストにも直結する部分です。
一方でクロスなどの内装仕上げは、後からでも比較的手を加えやすい部分です。すべてに費用をかけるのではなく、最初にしっかり考えておくべきところと、後から変えられる部分を整理することが大切だと思います。
限られた予算や条件の中で、何を優先するのか。そこを一緒に考えることも、設計事務所の役割だと思っています。
Q. 木をたくさん使うこと、必要な場所に効果的に使うことについて設計の考え方に違いはありますか?
【木を使うことが目的ではなく、空間全体のバランスを整える】
大切なのは空間全体としてのバランスだと思っています。木材と他の素材とのバランスですね。
内装にふんだんに木材を使用した場合には、あえて別の素材の家具を合わせることもあります。
私自身は木材と他の素材を組み合わせながら、空間全体として心地よく整えていく考え方が好きです。
木を使うこと自体が目的ではなく、暮らしに合った心地よい空間をつくるために、木をどう活かすかという点を大切にしています。ただ私自身は木材と他の素材を組み合わせながら、空間全体として心地よく整えていく考え方が好きです。
木を使うこと自体が目的ではなく、暮らしに合った心地よい空間をつくるために、木をどう活かすか。そこを大切にしています。

photo by yui sugawara
Q. 県産材を取り入れるときに大切にしていることは?
【岩手県産材の豊富な樹種を活かす。赤松と杉の魅力】
岩手県産木材は樹種が豊富なところが魅力だと思います。その中でも、私は赤松をおすすめしたいです。
赤松は木目がとても美しく、白っぽい色合いから、年月とともに飴色へと変化していきます。その経年変化が大きな魅力です。
肌触りも良いので、フロアなどの内装材に使用するのがおすすめです。日々の暮らしの中で直接触れる場所に使うと、木の良さを感じやすいと思います。
杉もおすすめです。暖かみのある表情がありますし、調達やメンテナンスのしやすさから、外装材への使用を主に提案しています。

photo by yui sugawara
Q. 県産木材をもっと身近に感じてもらうために今後必要なことは?
【親子で触れ、体験できる場づくりへ】
お子様を主体とした親子で県産木材を知ったり、体験したりできる場を提供していくことが大切だと感じます。
木材は完成した家の中で見るだけではなく、触れたり、香りを感じたり、自分の手で扱ってみることで、より身近なものになると思います。
DIYが人気なので、気軽に買いに行ける県産木材ショップがあれば面白いなと思っています。
専門的な家づくりだけではなく、小さな棚をつくるとか、暮らしの一部に少し木を取り入れるとか、そういう入口があると、県産木材への関心も広がっていくのではないでしょうか。
Q. これから家づくりを考える方へメッセージをお願いします!
【設計事務所は『何を大切にするか』を一緒に整理する相談役】
設計事務所の強みは、プランに特化できることだと思っています。
住まい手の希望を聞き、暮らし方を整理し、限られた条件の中でどのような形がよいのかを考える。そこに設計事務所の役割があります。
そして昨今はそれに加えて、何を大切にするかを住まい手と一緒に整理する相談役としての役割も大きくなっていると感じます。
家づくりに不安を感じる方が多い時代だからこそ、最初からすべてを決めていなくても、焦らず、じっくり相談しながら進めていくことが可能です。
こうした考え方の設計事務所の家づくりもあるということを、ぜひ知っていただきたいです。
新築からリノベーション、小規模な工事まで、お気軽にご相談ください。
~終わりに~
かたぎしゆみえ建築設計事務所は、いわて森の棟梁の新たな登録事務所として、岩手の気候や暮らしに寄り添った住まいづくりに取り組んでいます。
県産材を使った新築、リノベーション、断熱耐震改修、小規模な工事に関心のある方はいわて森の棟梁登録事務所「かたぎしゆみえ建築設計事務所」の取り組みをぜひご覧ください。
お問い合わせ先
かたぎしゆみえ建築設計事務所
HPリンク https://kgy-a.jp/
