(有)杢創舎 花巻の新築物件 完成レポート
(有)杢創舎
(文章:木の家ナビ事務局)
先日、花巻で進行中の、こだわりが詰まったコンパクトな住宅を取材させて頂きました。
今回は、そちらの様子をご紹介します。
こちらは外観の様子。外壁がキレイに仕上がってきています。
プライベートを守る意味合いや、強風対策となる塀にも、㎜単位のこだわりが詰まっています。
写真のように正面から見ると、向こう側が見えるため圧迫感がありませんが、少し角度をつけると全く見えなくなります。
機能性のあるデザインながら、素朴な雰囲気がとても素敵です。
玄関を抜けると、使い勝手のよさそうなキッチンカウンタ―や、勉強机があるリビングに繋がっています。
床板は、岩手県産のクリ床板を使用しています。ハッキリとした木目と優しい色合いが特徴です。
土台などに使われる事もある耐久力に優れた硬い木で、傷がつきにくく、床板にはピッタリです。1枚1枚の幅が狭いため、空間を広く感じられるデザインにもなっています。
身近に感じられる地元の木材を感じながら、経年変化も楽しむことが出来ます。
平屋ですが天井が高く、大開口の窓でお部屋が明るく感じられるのも印象的でした。
角度のついたウッドデッキも、様々な用途に使うことが出来そうです。
温熱環境にこだわっているため、窓際でも全く寒さを感じませんでした。
UA値(小さければ小さいほど家の外に出てしまう熱が少なく、断熱性が高いことを示します)も、国の基準値を大幅に上回るUA値0.26を実現しています。
窓を仕切るのはカーテンではなく、障子を採用しています。
仕切ることで、縦に広い印象だったお部屋が、横に広がるような落ち着いた印象に変化しました。
リビングにどっしりと構えている軸組みの構造もスッキリとまとまっていました。
安心感がありつつ重たくない印象で、品のある見せ方となっているようです。
また、写真のように梁の中に照明が付けられているため、丁度良い明るさのお部屋になっています。
そのまま天井を見てみると、杉を使用した羽目板が見えてきます。
どの木材にも、丸太の中心に近い部分(赤身)と外側の部分(白太)がありますが、
杉は赤身と白太の色合いの違いがハッキリと分かりやすい樹種になっています。
赤身と白太をランダムに配置しつつ、スリットを入れる事で木目の印象がまろやかになり、表情も豊かになっているようです。
杉は馴染みの深い木材で、室内にこもった湿気を吸収してくれる調湿性や、手触りの良さが特徴です。材としては空気を多く含むため、温もりのある風合いと共に、断熱性にも優れています。
また、令和3年2月26日の日刊木材新聞によれば、杉無垢材には抗ウイルス性もある事も確認されています。
こうした木をふんだんに使ったメリットを強く感じられるのも、今回の住宅の魅力の一つです。
続いてキッチンのご紹介です。
テーブルには、3枚のケヤキ板をハギ合わせた幅広の天板を使用しています。
引き出しのある脚材も、杢創舎で加工しており、強いこだわりが感じられます。
カウンターの天板も、ケヤキの1枚板です。こういった1枚物の材料は滅多に出ない、とても貴重な材料です。
自然な曲がりを残して仕上げた「耳」と呼ばれる皮に近い端の部分が手前に来ることで、厚みを維持したまま、シャープな見た目の印象になっています。
また、木を製材したときに丸太の外側にあたる面が木表=オモテ。内側(芯に近い)のほうが木裏=ウラとなりますが、
今回は木裏を使っているため、広い幅も確保できており、とても使い勝手が良さそうです。
キッチン周りの天井は、白太の杉板を使うことで、明るい印象となっていました。
続いて洗面室のご紹介です。壁を板張りにする事で、リラックスできる空間となっています。
硬いナラの天板と、手の形に加工された、柔らかみのあるオニグルミを使った取っ手が印象的でした。
トイレには、赤白混じり(源平)の杉板が多く使われています。
便利なトイレカウンターには、サクラの木材が使われています。
本当に沢山の樹種が使われています。
浴室の天井には、青森ヒバという木材が使われています。白っぽい色合いで、スッキリとした印象となっています。
青森ヒバは、香木とも呼ばれる独特な木の香りが特徴で、心地よい空間となっています。
香りの源であるヒノキチオールという成分には、雑菌類やカビ類、ダニなどの増殖を抑える優れた抗菌性があるため、お部屋ともマッチしています。
こちらは和室の様子です。白太を厳選して使用する事で、明るい印象にもなっています。
お部屋の雰囲気と、木目の雰囲気もマッチしていて、とても素敵なお部屋となっています。
杉羽目板を利用した扉を開けると、杉の赤身を中心に使用したお部屋が見えてきます。
お部屋ごとに、杉の見せ方を変えるのも、こだわりポイントの一つです。
梯子を登ると、遊び心たっぷりの屋根裏スペースがありました!
壁板を横使いする事で、ここまでのお部屋とも、また違う印象になっています。
窓からは1階の様子を見る事が出来るようです。
遊び心として、こんな面白いポイントも!
大工さんが工事を進める中で、材料に付けていく寸法のメモ。これらは、通常は隠れる部分に使われますが、あえて表に来るように取り付けています。
施主と施工者が一緒に家造りを進めた住まいである事や、大工さんの想いも日々の暮らしの中で感じられそうです。
岩手県産材をふんだんに使った今回の住宅。
材料の特性を活かした大工さんの技術や、「全てに意味を持たせる」、「なんとなくで妥協しない」という設計の想いも感じる、とても素晴らしい住宅となっていました。
こちらの施工中の様子や、(有)杢創舎で取り組んでいる物件の様子も、HPの「現場だより」から見る事が出来ます。そちらも是非、ご覧ください!
お問い合わせ先
(有)杢創舎
TEL:019-601-5192
FAX:019-601-5193