いわて林業アカデミー 木造建築研修レポート ご協力:(株)八重働工務店
岩手県林業技術センターでは、林業への就業希望者等を対象として、林業に関する知識と技術を体系的に習得するための研修「いわて林業アカデミー」を実施しています。1年間の研修を通して、将来的に林業事業体の経営の中核となり得る現場技術者を養成しています。
今回は、令和3年10月28日(木)に実施された、木造モデルハウスでの研修会の様子をご紹介します。
研修にご協力頂いたのは、(株)八重働工務店の桜町常設展示場です。
木材は岩手県産木材、壁は漆喰など自然素材にこだわった暖かい住宅です。空気がおいしく、中に入ると木の良い香りがしてきます。
講師は、岩手県森林組合連合会・「木とくらしの相談所」の太田 氏。
「木とくらしの相談所」は、各製材所と連携し県内外の工務店・設計士に岩手県産木材の提案を行っている部署です。
森林組合として山側や丸太の事情も考えながら、岩手県産木材の安定供給やPRを行うコーディネーターとして今回の住宅にも関わっています。
初めに、木材の基礎知識をお話して頂きました。
実際に構造の梁やテーブルを例にしながら、木材の裏表や、木目と柾目など、木の床にリラックスして座りながら生徒の方々は熱心に聞いていました。
研修生の方々は、これまでに林業を勉強して基礎知識は持っていますが、やはり実際の現場の視点は新鮮であるようでした。
例えば、材の芯持ちと芯去りのお話。
丸太の芯がある材料(図上)と丸太の芯が無い材料(図下)では、使い方や材としての貴重さも異なります。
芯持ちの材料は、赤身が強いため芯去りの材料よりは強度が高くなります。そのため、家の構造を支える材料に適しています。
芯去りの材料は、節が少なく割れが出にくいため、毎日 目にする化粧の柱などによく使われます。また、芯を外しても角材が取れる太い丸太からしか取れないため、材としては芯去りよりも貴重な材料となります。
このような、山や丸太を見ているだけでは想像しづらい建築材としての木材の説明もありました。
2人目の講師は、実際にモデルハウスの建設に携わっている(株)八重働工務店の菊池 氏。
今回の住宅のこだわった部分について、ご説明頂きました。
お話の中でよく出てきたのは、「地域で循環する」という言葉。
岩手県は森林資源が豊富ですが、まだまだ地元での活用が出来ていないのが現状です。
それを感じた(株)八重働工務店では、自らが率先して地元の木材を使う事を目指し、今回の岩手県産木材を豊富に使ったモデルハウスを建設しました。
地元の木を使う事で、森林の手入れも進み、地元の経済も活発になっていきます。
高断熱・高気密のこだわりをしっかりと守りながら、そうした「地域で循環する経済」も考えていきたいとの事でした。
質疑応答では、研修生の方々からも質問があったりと、とても有意義な研修になりました。
最後は自由見学の時間に。
話を聞くだけでは分からない、手触りや足触りを体験しながら、興味深そうに見学していました。
木材の循環は、「植える・育てる・使う」に取り組んでいく事です。
木材を積極的に利用する事で、森林の手入れが活発になり、国土の保全や水資源などの機能を維持増進する事が出来ます。
そういった活動は日々の私たちの暮らしを守り、環境や社会への大きな貢献です。こういった意義を大事にし、今回の研修などを通して次世代へ森林を継承していく事が大事だと感じました。
(文章:いわて木の家ナビ事務局)
お問合せ
(株)八重働工務店
TEL:019-651-1187
HP:(株)八重働工務店 | 盛岡市の注文住宅・FPの家・COZY (yaehata.jp)
(令和3年11月4日 9:30投稿)